訴訟の開始にあたって

明日(7月16日)の10時から東京地方裁判所で訴訟期日が行われます。私が花柳寛氏らを被告として提起した訴訟の第1回期日です。本件については複数のメディアで取り上げられているため、既にご存知の方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

このような形で花柳流の名前が多くのメディアで取り上げられる事態となり、お流儀の皆様・関係者の方々に心苦しい思いをさせていることについて、大変申し訳なく思っております。
第1回期日を直前に控え、今回の訴訟を提起した目的についての私の考えをご説明させていただきたいと思います。

報道されているとおり、私は、本年4月10日、花柳寛氏より「除名通知」という文書を受領しました。その文書には、「花柳流から除名する」、「花柳流の苗字芸名及び流紋の一切の使用を禁じる」という処分を科すことが記載されていました。しかし、そこに処分の理由として記載されていたのは、三世を偲んで開催された舞踊会に出演したことや舞踊会において花柳流の舞踊を披露したことが「流儀に対する著しい非行行為」に該当するというものであり、決して納得できるものではありませんでした。

私は祖父である故花柳壽楽のもとで幼少期に日本舞踊を始め、5歳で初舞台を踏み、16歳の時に花柳流の名取となりました。「花柳貴彦」というお名前はその時に三世お家元からいただいたものです。花柳流や「花柳貴彦」という名前は日本舞踊家としての私そのものであり、合理的な根拠もなくこれらを奪われるというのは耐え難いことです。

したがって、今回の訴訟の目的の一つには、私の花柳流の名取としての地位、三世からいただいた「花柳貴彦」という名前を守りたいという思いがあります。しかし、それだけが目的ではありません。現在の花柳寛氏による花柳流の運営には多くの問題があり、このままでは初代から三世までが心血を注いで受け継いでこられた花柳流の伝統が失われてしまうのではないかという不安があります。そのような状況を打開することが真の目的です。

現在、お流儀の方々からは、花柳寛氏による花柳流の運営について、「名取の金銭負担が増加して営利的・商業的になってしまった」、「会計が不明朗である」、「花柳流本来の古典舞踊が軽んじられている」、「自らの意に沿わない者を排斥するなど独裁的である」、「私利私欲に基づく行為が目立ち流儀のことを考えているとは思えない」等の数え切れない不満の声が聞こえています。

私は、一時は日本舞踊の世界を離れて大学で学び、その後一般企業にも勤めましたが、平成15年に三世お家元から家元継承を前提として日本舞踊の世界に戻るよう要請を受けて以降は、三世のもとで修行を積んで参りました。そして、三世からは、お流儀の方々を大切にし、私利私欲を捨てて公明正大であることが何よりも家元として大切なことであるという教えを受けました。このような教えそのものに、流儀のために「私」を捨てて公明正大に家元としての務めを果たされていた三世のことを思うと、現在の花柳流の状況は大変残念でなりません。

私には、三世から次期家元として指名していただいたことに対する責務があります。花柳流が従来の伝統を守り、お流儀の方々が安心して舞踊に勤しむことができる環境を守るために、すなわち花柳流があるべき姿を取り戻すために、この度、あえて行動を起こすことといたしました。

これまでにも私は花柳寛氏に対して対話を求めてきましたが、一切応じていただけませんでした。お流儀の先生方の中にも直接に寛氏に対して意見を述べた方がいらっしゃいますが、そのような方々は流儀の運営から排斥されたり、何らの返答も得られていないと聞いています。そこで、寛氏と対話をするためのやむを得ない手段として、今回、訴訟を提起いたしました。訴訟の手続を通じて、寛氏と対話を行い、花柳流のあるべき姿を取り戻したいと考えております。

当然のことながら、お流儀がどのような姿であるべきかということは、お流儀の皆様のお考えに基づいて決められるべきものであると考えています。そのため、訴訟という手段を用いていることの賛否を含めて、私の活動に対するご意見はどのようなものであれ耳を傾けさせていただきたいと考えています。このページを通じてご意見をお寄せいただくことも可能であり、いただいたご意見の内容は厳守いたしますので、どうぞご意見をお寄せいただければ幸いでございます。

 平成26年7月15日
  花柳貴彦

 

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